アナウンサーが語る「棒読み」からの脱却ストーリー

最初にぶち当たった壁「棒読み」

なんでもいいので、
文章を声に出して読んでみてください。

どうですか?
棒読みになりませんか?

中にはスラスラ自然に読める方も
いるかもしれません。

でも、ほとんどの方は、
棒読みになるのではないでしょうか?
(違ったらごめんなさい!)

…私はそうでした。

アナウンサーを目指し始めて、
初めて原稿というものを声に出して読んだとき、
これまでに味わったことのない
絶望感を味わいました。

やめよ、逃げよ、諦めよう!

そう思いました。

こんなにも下手くそなのか!
と落ち込みました。

そんな私が
アナウンサーになりました。

どうやって棒読みから脱却していったのか。
どうすれば棒読みから脱却できるのか。

体験談を書いてみようと思いました。

人生2度目の原稿読み

日本の小学校に通った人なら
ほとんどは原稿読み、
したことあるはず!?

今、小学生の息子が
まさに毎日やっております。

それが「音読」
国語の教科書の音読が宿題として
ほぼ毎日あります。

まぁなんという棒読みでしょう。
それでも一生懸命読んでいるので
そっと見守っています。

そして私が小学生の頃以来
原稿をしっかり声に出して読んだのは、
大学の先輩が連れていってくださった
アナウンス教室でのことでした。

当時、私は大学1年生。
そこにいたのは、
アナウンサー試験を間近に控えた
3年生、4年生の先輩方でした。

先生を前に、
1人ずつ原稿を読んで、
指導していただくというものでした。

私も試しに読んでみることになりました。

一切、何も注意やアドバイスはありませんでした。
ご指摘いただくレベルにすら
達していなかったのです。

はい、これから練習しましょうね、くらいのもの。
相手にされない、
話にならない棒読み。

自分でそれが痛いほどわかり、
この場に私はいていいのか?と
恥ずかしさでいっぱいだったのを
今でも鮮明に覚えています。

でも、なぜか逃げなかったんです。
これができるようになったら
新しい自分に出会えるのではないか、
そんな気がしたのです。

そしてそれは
見事に的中、
私は当時から信じられないような
新しい自分に出会うことができました。
(やってよかった!)

棒読みコンテストがあったら
間違いなく優勝できただろう私が
アナウンサーになった。

一番信じられなかったのは
間違いなく私自身です。

なんで棒読みになるの?

文章、原稿を読む、ということは
「文字を音声化する」
ということです。

目で見た文字を
脳みそで内容を理解しながら
口を使って
音声にするのです。

結構な作業です。
これに、時間がかかっていることが
棒読みの原因だったと
私は分析しています。

ただの文字を、
「情報として」キャッチしないといけないのです。

この文字、文章は何を伝えようとしているのか。

それを理解して初めて
声に出して人に届けることができます。

内容がどういったものか、
なんのために誰に伝えようとしているのか、
どのような意味や感情が込められているのか、
この文章の目的はなにか、
…などなど、
瞬時にたくさんの情報を
理解する必要があります。

それを理解しないまま声に出すから
棒読みになるのです。
それはただの
文字の音声化マシーンです。

文字を目にした瞬間に
内容をつかみ、
意味を理解して音声にすることで
伝えるという感情が込められて初めて
棒読みではなくなるのです。

ではどうやって
そのスキルを身につける?

そのためにしてきたことは?

実際にどんな練習をしたか

それは、
とにかくいろんな原稿を
声に出して読みまくることです。

質より量、
からスタートします。

棒読みでいい。
とにかく、1文字1文字
丁寧に、
大きく口を動かして、
大きな声でゆっくりと
何度も何度も何度も読みます。

ひたすらそれを
物理的に量をこなすのです。

同じ原稿でも構いません。
リピートでいい。

理屈は置いておいて
とにかくそれを繰り返します。

数ヶ月間、毎日です。
大きな声です。
20メートルくらい先の人を
呼び止めようとするくらいの大きさです。

これをすると、
疲れてだんだん声が小さくなります。
それではダメです。

大きな声で、
とにかくゆっくり
1文字1文字クリアに発音することを意識して
最低でも20分は続けます。
これ、かなり疲れます。

そうするとどうなるか。
声を出す体力がつきます。
滑舌がよくなります。
同じ文章を繰り返し読むことで
内容が頭に入ります。
なんなら文章が暗記できてしまいます。

そうなったら勝ち!
(勝負ではないけど)

これをクリアして初めて
棒読みから脱却する一歩を
踏み出したことになります。

ただ、
これをやり切れる人が
なかなかいないのです。
誰もやりません。

だから面白い。

棒読みから脱却してみたい、
アナウンサーになりたい、

そんな方は
ぜひ騙されたと思って
これをやってみてください。

手応えがつかめるのではないでしょうか。

もちろん、
これだけで文章が
スラスラ読めるようになるわけではありません。

でもこの一歩ができたら、
半分は課題をクリアできたようなもの。

この先の応用に生かすことができます。

この一歩が難しい。
やるかやらないか。

私はこれを、
アナウンサーになったあとも
何年も続けました。

こうして私は棒読みを卒業しました。

アナウンサーは
表ではわからない
地道な努力をしています。

だから、棒読みではないのです。
その裏側の努力の内容を
時々紹介しています。

マニアックな記事ですが
他にも読んでいただけたら嬉しいです。

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ABOUT US

tomoe
1983年生まれ 山口県岩国市出身 共立女子大学を卒業後、 yab山口朝日放送 メ〜テレ(名古屋テレビ放送)に勤務 結婚を機に退社し上京。 2人の息子を出産後 2018年11月から夫の赴任に伴い スペイン・バルセロナ生活スタート。 ワインエキスパート資格取得(2008年) ボイスワークス所属